内見その7〜イケメンさんの住むお部屋
こんにちは、日凪子です。
最上階南向きのお部屋さんを予算面で見送ったものの、やっぱり気になってちょくちょく検索ページをのぞいていました。
立地はいいんですよね。
南側の窓際の感じも素敵で、眺望も抜けていて、ここでの暮らしは楽しそうだなぁとあれこれ想像していました。
そんなとき、同じマンションの2階の部屋が売りに出たのです。
私の希望は5〜8階で、低層階はまったく考えていませんでした。
低層階は他の建物の陰になりやすいし、私が大嫌いな虫も出やすいからです。
妥協しても4階までと思っておりました。
なのでこのときも2階のお部屋を購入したいという意欲よりも、私がときめいた10階のお部屋さんと同じ間取りのお部屋をもう一度見てみたいという気持ちで、内見を申し込んだのでした。
10階は空き部屋でしたが、2階はまだ売り主さんが居住中でした。
この売り主さんが、若いイケメンさんだったのです。
背がすらりと高くて笑顔が爽やかで話しかたも朗らかで感じがよく、お部屋さんよりも売り主さんにときめいてしまいました。
お部屋はイケメン売り主さんが1人でお住まいで、あまり使用されてないとのことでキッチンなど新品のように綺麗でした。
エアコンのホースもきちんと化粧カバーがつけられ、シンプルな家具がセンス良く配置され、このおうちさんの残念ポイントである壁のへっこみ部分を上手に隠しています。
なるほど！ こう使えばいいのかと感心しました。
イケメンでお部屋も綺麗だなんて素晴らしいです。
10階の内見で私が気になっていた横滑り窓も、開けさせていただきました。
開くには開いたのですが、なかなか難しいです。それに力がいります。
これは日常的に開けるのは大変そうだなと思いました。
売り主さんは、
「この窓、ここまで開いたんですね」
と驚いていました。
6年間、1度も水平にしたことがなかったそうなので、窓が硬いのはそのせいかもしれません。
窓とベランダがある南側は、道路を挟んだ向かい側に住宅地があります。
日当たりは望めないと思っていたのですが、意外なことに家と家の隙間からいい感じに日が入ってきて、とても明るいです。
日当たりは問題なくお部屋も綺麗で、なによりもお値段が10階より400万以上安い5580万円です。
正直グラつきました。
もうここでいいんじゃ。
「音はどうでしょう？ 上のかたがうるさかったりしませんか？」
尋ねると爽やかな笑顔で、
「いいえ、静かですよ。たまに夜中にハイヒールのカツカツ音が聞こえてきますが気になりません」
と包み隠さず話してくださいました。
ハイヒールのカツカツ音は多分西側の窓の向こうに、別の棟の外廊下が伸びているからでしょう。
10階は2部屋だけなので、この棟はありません。
「太鼓の音がすると貼り紙がありましたが」
というとまた絵になる笑顔で、
「あれは太鼓じゃなくて××ですね。休日に遠くから聞こえてきましたが、気にならないくらいでした」
と答えてくれました。
売り主さんは音楽関係のお仕事をされているそうで、この××についてなにか専門的なことを語っていました。
「私は虫が苦手なのですが、虫に関してはどうですか？」
「窓際にクッキーを置いてたら、蟻が列を作って上ってきてびっくりしたことがありますけどそれくらいですね」
部屋の中に蟻さんは、それくらい、ではないように思います。
やっぱり2階は虫が入るんだな……と考えながら、もうひとつ10階のお部屋を内見したときに確認していなかったことを尋ねてみました。
「修繕費と管理費は、この先値上がりの予定はありますか？」
これは大切です。
築6年の時点で管理費1万5千円。修繕費と合わせて2万5千円を超えています。
この先どれくらい上がるのか。
小規模マンションなので安くはないはずです。
売り主さんが修繕費の積み立て計画を出してきてくれました。
それを見ると2025年に管理費と合わせて、ほぼ4万になっています。
えっっっっっ！ 4万！
2025年ってあと3年後？
築10年くらい？
そんなに早いうちに4万円まで跳ね上がるの？
15年先、30年先はどうなっちゃうの？
驚愕でした。
実はこのとき私は小さな勘違いをしているのですが、それに気づくのはしばらく先のことで、3年後に管理費と修繕費が4万になるという衝撃に、茫然とするばかりでした。
やっぱりこのお部屋さんは無理！
後日、担当の不動産屋さんから打診がありました。
「売り主さんがぜひ日凪子さんに買っていただきたいとおっしゃっていて、50万お値下げできますとのことですが、どうでしょう」
私が全力であちこち褒めまくったので、好感を持ってくださったようです。
イケメンさんからの申し出にはときめきましたが、お断りしたのでした。
やっぱり4万円は高いです！
